印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page29 -
「ねぇ、結構書いてるじゃない、ちょっと見せて」
 モトちゃんに書いた紙を取られた。現代人でも分からないようなものを平安人が分かるわけない。
「分からないのが多いけど、着けるって、何を着けるの?」
「ああ、気にすんな、言っても分からないから」
「どうせなんかスケベなものでしょ?」
「まあな……って、スケベって言った?」
「うん、しずかから聞いたから」
「どういう意味で使ってるんだ?」
「やらしいことだって。合ってる?」
「残念なことに、かなり合ってる、かも」
 スケベ自体が困るんじゃなくて、その語源として俺が残るのが嫌なんだ。
「あかね、これをモトちゃんと読んでくれ、モトちゃんがキリで、あかねがルリな」
「はい」
 で、ふたりで読んでくれた。いい。
「これ読んで何の意味があるわけぇ?」
「ほぼ俺のひまつぶし。あ、お前らひつまぶしって知ってるか?」
「ひつまぶし? 知らないなぁ」
「どんなものですか?」
「料理だよ、ウナギの」
「うなぎぃ? キモ!」
「ああ、ウナギのキモは美味いんだぞ、キモだけを串に刺したキモ焼きってのもあるんだ」
「うなぎは蒲焼かばやきくらいしか知りませんが」
「だな、この時代の蒲焼きって、がまみたいになってるから蒲焼きで、蒲鉾かまぼこもそうだよな、形が似てるからそう呼ばれてる。でも俺の時代だと、名前だけ残って全然別の料理なんだ」
「料理が違うのに名前が残るって変じゃない」
「白馬の節会と一緒だよ、白馬なのにあおうまって違うじゃないか」
「その蒲焼きはどう作るんですか?」
「ウナギを開くんだ、背開きと腹開きがあって、こっちの方だと腹開きだな。開いて串に刺して焼くんだが、腹開きの方はウナギの脂で焼く感じにパリっと仕上げて、背開きの方は蒸して油を落としてしっとり柔らかく仕上げる。それをタレに浸けて、また焼いて、飯の上に乗せたりして食うんだ」
「それがひつまぶしなの?」
「ひつまぶしは、そのうなぎを細かく、そうだな、2分6ミリくらいに切って、ご飯と混ぜたもので、1杯目はそのまま、2杯目は薬味と、3杯目は出汁を入れて食うというものだ。言ってたら食いたくなったな」
「今はないと思いますが」
「そうだよな、ウナギって毒があって、ちゃんと加熱しないと危ないから、それを分かって料理しないといけない」
「食べたいねぇ」
「そうですねぇ」
「食べ物の話ですか?」
「私も欲しいです、光さま」
「ウナギがあったら作ってやるけど、タレは何年もかけて熟成されるものだから、あんまり期待すんなよ」
「若狭でもあるかな」
「多分あるんじゃないか? 準備してないから今日はムリだけどな。旬は寒くなってから雪解けくらいまでで、夏は味が落ちるからあんまり食うもんじゃなかったんだが、土用の丑の日にうなぎを食おうって言ったのが流行って、夏にも食うようになったんだ。味が落ちて客が来ないウナギ屋のために考えたんだってさ」
 これは平賀源内の発案だとされる。ちなみに源内さんはかなり好きだ。
「じゃ、光は夏には食べないの?」
「あったら食うけど、わざわざは食べないな。冬至にカボチャも食わないし」
「かぼちゃって何ですか?」
「あ、さやも知らないって、まだ日本にないか。多分、お前ら好きだと思うぞ、『芋、タコ、南京』とか『芋、栗、南京』って言って、女の好きなものっていうのがあるんだけど、その南京っていうのがカボチャなんだ。ちなみに芋というのはサツマイモで、これもまだない」
 大阪出の井原西鶴も『とかく女の好むもの、芝居、浄瑠璃、いもたこなんきん』と書いている。タコか栗か、元来は栗ではないだろうか。京の方は『芋、栗、南京』、そこから大阪で『芋、タコ、南京』にしたではないかと思う。昔の京で食べることができたのは焼いて干したタコだったので、固く、芋や南京とそぐわないからだ。
「まだないんだ……」
「嫌なことを聞いてしまいましたね」
「でも、あれだぞ、俺はこの中だとタコが一番好きだから、タコだけでいいじゃないか。ただし蒸しダコな」
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