印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page35 -
 竿は立っていて、釣り糸は更に上へ。その先にあったのは、鳥?
「引っ張るしかないな」
 鳥を釣ったのは初めて見た。スレじゃなくて、ちゃんと口に掛かってる。釣果ちょうかじゃなくて鳥果ちょうかだな。
 鳥を締めるのはできないので網元にやってもらった。
「私も長年漁をしてますが、鳥を釣ったのは初めて見ました」
 まあ、プロの人では考えられない外道中の外道だよな。
 モトちゃんに代わるというので、エサを付けてやった。
「網元、ウナギの仕掛けは遠いのですか?」
「いえ、このちょっと上流ですから、すぐのところです」
「もうちょっとしたら、そっちをお願いできますか」
「承知しました」
「光! 掛かった!」
「お、モトちゃん、入れ食いだな」
 アジだった。
 エサを付けると、今度はさやである。
「光! 私にも来ました」
「また入れ食い?」
 アジだった。
 エサを付けてやると、残りはあかねだ。
 入れ食い、にはならなかった。
「来た! 光ぅ!」
 誰? 急いで喋れるんじゃないか、しずか。
「しずか、竿を立てろ!」
 アジだった。
 エサを付けてやると、最後は諾だ。
「あ、掛かりました、光さま!」
「お、こっちも入れ食いか」
 アジを取って、この班は終了。やっぱりこうなると全員釣らないと終われないよな。
「来たのぢゃ、光!」
「ちぬだな」
 血抜きをしてエサを付けて、ここも最後の夕月だ。
「さて、どっちが先かな」
「ヒカル、私にも来ました!」
 いや、伊佐、お前は自分でやれよ。
「竿を立てて、あ、ゆっくりすばやく、引っ張って」
「どっちですか!」
「一定の早さで早すぎず、ゆっくり過ぎず」
 蟹だ、モクズガニ。
「カニですね」
「だね。エサを食ってるんじゃなくて掴んでるだけだから、離されたら終わりだ」
 蟹釣りというのはあるが、それは網で釣るのであって、エサを挟んだのを釣るのはザリガニ釣りのやり方だ。
 カニは水を入れた桶に入れておく。逃げないように見張るのはてるとつきに任せた。
「玉藻もやるか?」
「いいのですか?」
「ああ、待ってろ」
 エサを玉藻なら付けられそうだが、同じに扱った方がいいと思って付けてやった。
「ほら、やってみ」
「神さまたちは流石にやらないよな」
「そうですね、妾が釣り糸を垂れたら、とんでもないものが釣れそうですから」
「ああ、島とかならまだ良い方で、災厄みたいなのも釣れそうだから、めといてもらえるか」
「ええ」
 昔、針のない糸だけでえらいもんを釣ってた爺さんがいたな、太公望と呼ばれる人だったが。見ようによっちゃ太公望が釣れたんだけど。
「光さまぁ、助けてください」
「よし、あかね、竿を立てるんだ」
 アジだな。まあアジは数があっても困らないからいいけど。
「私もです。掛かりました」
「夕月も竿を立てて引っ張れ」
 ちぬだった。血抜きをしておく。
 玉藻で終わりか。
「ご主人さま! 来ました!」
 水が盛り上がっていた。
「何だ……これは?」
 金髪である。
 長い濡れた金髪が豊かな胸に掛かっていて、腰のラインは素晴らしいものがあるが、残念なことに魚である。
 いわゆる人魚だな。
あぅちOuchへっぷHelpみぃme!」
 言っとくが、今の時代、アメリカどころかイギリスもなければ、英語もまだ成立していない。イギリスは案外新しい国なのだ。俺の脳内補完で英語的な言葉に聞こえているに違いない。
 しかも、声は定子さまにそっくりだった。
ジャスJustaモゥメンッmomentドンDon'tムゥヴmove
 そう言って針を取ってやり、血抜きはしなかった。
せんThankきゅyouそぅsoまっmuch! まぃMyまぁすたmaster
 なんかややこしいのが現れたな、帰ってくれないかな。
エニAnyタイtimeユゥYouメッmayゴゥgo!」
あぃむI'mふぉえヴぁforeverいんでてっindebtedとぅtoゆぅyou
 ばしゃんと水に飛び込み、沖に帰って行った。
 ふぅ、このまま居着かれたらどうなるかと思ったぞ。
「光、あんた、何喋ってたの?」
 驚いた表情でモトちゃんが聞いてきた。
「あ? さっきのか? ありゃ外国の言葉だよ。唐とかじゃなくて、もっと遠いとこのな。よし、みんな釣ったな、次はうなぎだ!」
 みんなの潤んだ視線に、このときは気づかなかった。
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