印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
携帯・スマホからもご覧いただけます⇒

第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




  (ルビ表示が正しくない場合)


横 縦     並 大 特大     G M
- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page37 -
「美味いものですね、これが京の料理ですか」
「いや、網元、これは俺の料理で、京にはまだないものですよ」
「こういうのが作れるんだから、ヒカルは凄いです」
 伊佐も喜んでくれていたみたいだ。
「これのタレは焼き続けてるともっと美味くなるんだ。それまでには何年、何十年とか言われるけど」
「京でも作ってくださいね」
「ああ、帰るころ、冬になるとウナギが美味くなるから。道隆さまや伊周さまにも差し上げたいし、そんときは伊佐も呼ぶから。ゾロはうなぎはどうです?」
「久しぶりの鰻は美味いぞ。洗いもいいな」
「それは良かったです」
 好評なので、作って良かった。美味かったし。
 片付けは馳走になったからと若い衆がやってくれるという。うちの持ち物だけ分けて、さやと夕月が洗って馬車に戻してくれた。
 他の連中はまた潟に行って遊んでいる。
 国府までは1時間もかからないので、ゆっくりできるから、もうちょっと休もう。
 朝早かったので少し眠ってしまった。
「勅使、光源氏さま。勅使、光源氏さま」
「ん? 誰?」
「お休みのところ申し訳ありません、加賀国司介にてございます」
「あ、国司さん。ちょっと待って」
 起きて居住まいを正した。国司は束帯の正装だった。
「すみません、朝早くて、こっちで料理もしたので寝てしまいました。勅使光源氏です、よろしくお願いします」
「国府においでいただければ、こちらでお食事を差し上げましたのに」
「いえ、遊びも兼ねてですから、お気遣いなく。加賀の名物とか美味いものって何がありますか?」
「海の幸は若狭、能登にも負けておりませんし、3つの潟と海の間でも色々な魚介が捕れますゆえ、魚介類は美味いと存じます。それだけでなく、山の幸も豊富で、受領以来、すっかり加賀が好きになってしまいました」
「そうですか、それはいいですね。夕食も楽しみになりました」
「すぐにお越しいただけるのでしょうか」
「まだ朝食からそれほど経っていませんし、もう少し休ませてもらってもいいでしょうか。うちの連中もすっかりここが気に入ったようなので」
「ありがたきお言葉です。時間はお気になさらず、存分にお楽しみください」
 この人はいい感じだな。
 そして、まったりと時間が過ぎていった。
源氏みなもとうじ、そろそろ行かぬか」
「そうですね、結構休みましたし」
「あの者たちの気の済むまでいたのでは、いつになるかも分からぬからな」
「ですね、じゃ呼んで来ます」
 みんなを呼んで、鴨を月光号に吊すと、馬車で加賀国府に向かった。
 国府では待ちかねたとばかりに宴が始まった。
 料理は悪くはない。美味いのもあったが、そうでないものもあった。まだ調理法が確立していないからだろう。料理には自分で味を付けるのだが、主に塩と酢で、味噌は調味料ではなく醤油はまだないのだから、味はかなり短調なのだ。
 ナマズ、ドジョウ、コイなどは現代でほとんど食べていないし、あまり食べられないのは他に美味いものがあるからではないだろうか。
 平安人ならば喜んで食うかというと、うちの連中もこれにはあまり箸が進んでいない。
「これ、あんまり好きやないかも」
「光のあんな料理を食べた後ぢゃからな」
 料理法や調味料が編み出された千年の差は大きいということだな。俺の腕のせいじゃないのは俺が一番分かっているつもりだ。味噌と醤油を使えるか否かは決定的な違いだろう。
 とはいえ、昼には忘れていた貝があり、これは良かった。貝は塩味でも十分美味いからだ。
 魚を捕ろうとすると、道具が必要であり技術も必要だが、貝なら潮干狩りであれば子供でもできる。だから、いにしえより貝はよく食べられ、貝塚ができたほどなのだ。長年、日本人が食べてきたものだから、体にも合っているのかもしれない。
 エビも塩焼きで十分食えるし、カニは茹でただけで美味い。山の幸もよかったな。
 こういった素材があって、調味料と調理法があったなら相当美味いはずだ。現代の加賀は美味いに違いない。
 昨日の国府では土地のものを、それに合った調理をしていなかった。京の味を再現しようとしているだけでは、そこに行った意味がない。その土地土地のものをどうやって食べさせるかなのである。
 エビやカニを食ったことがない者が多かったので、俺と朱鷺で食べ方を教えなければならなかった。エビはともかく、カニを食うときは流石のやつらも無口になるのが面白かった。
第5巻:page38 < 次  枕部之印  前 > 第5巻:page36

【お知らせ】
広告のお申し込み・当ページプログラム販売など承ります。委細メールにて。
(著作表示より送信)
 
▽ 基礎知識 ▽

平安用語の基礎知識
 
関連用語の基礎知識