印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page40 -
 さてそろそろ行くかということになり、国司に礼を言い、また帰りに寄ることを約束した。
 ここからだと、加賀国府より越中国府の方が近い。まず官道へ戻り、坂本駅に向かう。
「でも、意外だったちゃねぇ、光がこういう男だったとは」
「こういうって、どんなんだよ」
「いい男だったということだっちゃ」
「褒めてるのか?」
「そうだっちゃよ。みんなの話も聞いてたら、うちはやっぱり光の嫁になると決めたっちゃ」
「いや、ならんでいいから」
「そうです、ならなくていいです。ただでさえ人数が多いんですから」
「夕月、多いのは枕部で、俺の嫁は関係ないだろ」
「そう、ですか?」
「あんたたちねぇ、うちの婿に何言ってくれちゃてんのかしら」
「光はまだモトコの婿じゃないと聞いたっちゃ」
「そ、そんなことないもん。お母さまがそれでいいって言たから」
「道隆さまの中じゃ確定事項みたいだけど、貴子さまもなのか?」
「何を人ごとみたいに言ってるんですか、光さまのことなんですよ。あたしのことはどうしてくれるんですか」
「ん? あかねのこと? お前にはずっと俺の世話をしてもらえるとありがたいけど」
「それって一生ですか?」
「まあ、そうだな、できれば」
「分かりました、旦那さま」
 旦那さま? 旦那というのは檀那とも書き、檀家と同じ、布施をする人のことで、ダーナから音訳された言葉だ。英語で言うとドナー。臓器提供者をして知られるドナーだが、実は旦那と同じダーナからなのである。旦那は夫ではなく金を出す客やパトロンの方が近いだろう。だからあかねの言葉も訂正しなかった。
「妾はしっかり聞き届けましたよ」
「てるも聞いた!」
「つきも聞きましたです」
「だから?」
 お前らが聞いたからって、関係ないだろ。
「妾の前で一生一緒にいると誓ったではありませんか」
「それが何?」
「チッ、その手があったか。ねぇ、光? あたしともずっと一緒にいたいよね?」
「あ、ああ、まあ、な」
「よしっ!」
 やったぜというモトちゃんである。どういう意味なのだろう。
「私のこともずっと大切にしてください」
「ムゲにしてるすもりはないが、分かった」
「うちともずっと一緒にいたいっちゃね?」
「いや、別に」
「うちを一生大切にするっちゃ」
「何で?」
「ご主人さま、妾は一生ご主人さまにお仕えいたします」
「ああ、よろしくな」
「うちは光の側を一生離れないっちゃ」
「お前は佐渡にいろ」
「だぁりんのバカぁ!」
 俺の目に電撃が走った。
 朱鷺のやつ、思いっきりビンタしやがったんだ。
 そしてしばらく俺の記憶が途切れる。
 
 ふと目を開けると、心配そうなモトちゃんやゆかりがいて、しずかはすぐ側で安堵の表情となっていた。
「……蘇生成功」
 え? 俺、死んでたの?
「大丈夫? 光」
「ああ、ゆかり、ちょっと寝てたみたいだ」
 体がふらつくが、まあ大丈夫だろう。
 馬車が坂本駅に着いて、俺を心配したモトちゃんがしずかを呼んだのだという。玉藻にはまだムリ、というか本来は陰陽師のやることではないのだ。
「ねぇ、光、ウチと離れないで、絶対、ずっと」
 涙目でそんなことを言ってきた。俺は相当ヤバい状態だったのかもしれない。
「よく分からんが、分かった離れないぞ、ゆかり」
 手を延ばして頭をなでてやった。
「……あたしも光と離れたくない」
「そうか? しずか。 まあそう言ってもらえるなら嬉しいが」
「私ともずっと一緒にいてくれますか」
「さやとか? うん、いるけど?」
「われともずっと一緒なのぢゃ」
「ああ、飛鳥」
「あたしとも離れんといて」
「もちろんだ、瑠璃」
「光さま、私もずっとお側に置いてください」
「諾、分かった」
「らーらー?」
「どうした、羅螺」
「羅螺も光と一緒にいたいの、だそうです」
「分かったよ、羅螺、一緒にいような」
 みんなにこんなこと言われるって、やっぱりちょっと死んでたんじゃないだろうか。心配してくれるやつがいるって、ありがたいことだよな。
「さっきはごめんちゃ、うちと一生添え遂げるっちゃ!」
「絶対嫌だ!」
 冗談じゃない、何で朱鷺と添い遂げなきゃならないんだ。
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