印Let's Write The Japanese First Light Novel.
Since 2012-06-01
Update 2014-07-01
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第1巻 時間と歴史

第2巻 羅述と衛姥

第3巻 事件と救出

第4巻 牛肉と麦酒

第5巻 旅路と佐渡


主要キャラ 画像



枕草子 原文 全323段




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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page41 -
「聞いたわね、那美!」
 ゆかりの言葉に、みんな一斉に那美を見た。
「はい。しっかりと」
「そういえば、さっきもそんなこと言ってたが、それが何なんだ?」
「ですから、妾たち神の前で一生一緒だと誓っんですよ」
「だから?」
「神の名において、死がふたりを別つまで妹背ふうふであることを認めます。おめでとう、みなさん」
 ゲッ! もしかして、神前結婚ってやつか?
 いや、大丈夫だ。まだ単に神が認めただけじゃないか。俺が認めたわけじゃない。
「俺は認めんからな!」
「あらぁ、それは困りましたね」
「何が困るんだ、那美?」
「死によってしか別れられなくなりましたから」
「この時代、みんなくっついたり別れたり、結構好きなようにやってるじゃないか。何で俺だけそうなんだ」
「誰も神になど誓っていませんよ、神をないがしろにするばかりで」
「俺も誓ってねぇ!」
「誓いましたよね?」
 那美がみんなに向かって聞くと、一斉に首を縦に振っていた。
「ほら」
 だめだ、こりゃ。
「分かった、分かったから、京に帰るまでは保留な、仕事中だから」
「いいわよ、もう事実は変わらないんだから」
 くそ、帰るまでに何とかするしかないな。そしてそれがこの旅における最大の課題となった。
 
 しばし休憩の後、川人駅を経由して、富山湾近くの越中国府に至る。
 越中国司というと大伴家持が有名だが、在任していたのは250年も前のことだ。現代から見れば江戸中期の人なのである。
 到着すると歓迎され、すぐに宴が始まった。
 越中国府は期待しただけに残念だった。まあ、それは俺の無知が原因なのだが。漁法が原始的なものに近く、深い富山湾では捕れるものにも限度がある。
 富山湾というと、ホタルイカだが、普段は数百メートルの深さに生息し、4月中旬から5月上旬にかけ、産卵のために海面まで上がってくるのだから今は捕れない。ホタルイカは珍しい食える天然記念物だ。ホタルイカが海面で発光しているのが天然記念物に指定されていて、採って食うのはいいらしい。なお、ホタルイカにも寄生虫がいるため、生でそのまま食べるのはお勧めしない。ちなみに、シラウオ(キュウリウオの仲間)やシロウオ(ハゼの仲間)には横川吸虫がいることがあるため、躍り食いはしない方がいい。というか大抵の生物には寄生虫がいるので、生食はしないのが普通なのだ。食に関することなので寄生虫の本を2冊ほど読んだら、かなりのものが食べられなくなってしまった。かの北王子魯山人は田螺たにしが好きで、それも生ゆでがいいと食していて、ジストマ(肝吸虫)にやられたというし。
 かなり話が逸れた。
 富山湾のしろエビ(正しくはシラエビ)は殻が薄く好きなのだが、これも深海にいるため捕れない。また、駅弁でお馴染みで工場見学もしたこともあるますの寿司だが、現時点ではまだなれ寿司であって、馴染んだ駅弁のようなものとはまったく違っている。あのような早なれ寿司は江戸時代以降のものなのだ。
 富山湾での見所というと蜃気楼しんきろうも有名だ。これはしんという大はまぐりが沖で気を吐き、それによって楼閣が空中に見えるというものである。こう書くと、俺ならその大はまぐりを食いたがると思われるかもしれないが、そんなに大きいのは美味くないと思うので食おうとは思わない。ちなみに、虹もそういう伝説の怪物である。蜃気楼が見られるのは、春から初夏にかけての温かで風の弱い良く晴れた日の午後だという。つまり時期が違う。
 富山に行くなら現代の、それも4月中旬から5月上旬がベストだ。
 魚介類は豊富で美味かったのだが、漁法や調理法が同じなので、加賀とあまり変わらなかったのも事実である。
 まあ、心が沈みがちなこともあって、料理にも心躍らなかったのかもしれない。理由は、神に結婚を誓ったことにされたからだ。
 そんな状態で、粛々と越中国府の夜は過ぎていった。
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