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- 【俺のラノベは平安絵巻】 第5巻:page47 - |
喋ってぼーっとしてを繰り返すこと数時間、かなり近づいたとは思うのだが、まだ着かない。
そうだ、言っておくことがあったっけ。 「なあ、朱鷺、お前なんで佐渡への船のこととか教えてくれなかったんだ?」 「はぁ? 自分の胸に手をあてて、よっく考えてみるっちゃ」 「こうか? うーん、全然分からない」 「仕方ないっちゃねぇ、うちを嫁にすると言ってくれたら、教えてやるっちゃ」 「ならいいや」 「うちを嫁にするちゃ!」 「嫌だっちゃーっ!」 俺がそう叫ぶと、目の前に電撃が走った。今度はグーで殴りやがった。 ふらふらになった俺は船から落ちた。 この服装だとどんな水泳名人でも泳げないだろう。もう助からないと確信する。こうなればやることはひとつだ。 驚いているみんなに手を挙げ、拳を握って親指だけを立てた。 英語でいうとサムズアップ。 「「光っ!」」 「「光さまっ!」」 みんな口々に叫んでいた。 親指を立てたまま海に沈んで行ったのは言うまでもない。かの有名映画のラストシーンさながらである。 「アィウィルナッビィバッ」 ひとりごちると、そこで意識が途切れた。 唇に柔らかい感触があった。 意識が戻ってくると、目の前にいたのはあの人魚だった。口から息を入れて、いわゆる人工呼吸をしてくれていたらしい。 「あぁゆぅおぅけぃ? まぃまぁすた」 「アィスィンクソゥ」 「あぃるさとぅんりぃへっぷゆぅ、おぉだしぃ」 「サンクス、アィウォズオォモスッダィイン」 「ゆぅねヴぁだい、びぃこぅずあぃぷらてくっちぅ」 「ソゥ? ワッチャァネィム?」 「あぃむまるぃんがっです、こぉみっわだとぅみぃ」 海の女神? 話している間に船の側に連れて来てくれたようだ。綱が船から降ろされ、それを必至によじ登った。 引っ張り上げられ、海を見ると、人魚は手を振って波間に消えた。 「あれ、この前釣って逃がしてやったやつよね」 「ああ、っていうかやつって言うな、ゆかり、俺を助けてくれたんだから」 「何か話してたようぢゃが?」 「海では必ず助けるとか言ってた、あと、名前がミワダさんだとか言ってたな」 コール ミワダ トゥ ミーって言ってたよな、確か。 「あの、もしかして、ワダツミじゃなかったですか?」 「ん? 那美、聞こえてたのか?」 「いえ、知り合いなものですから、協会の」 「そうか、ワダツミ? 海神か!」 コール ミー ワダツミだったのか、ちょっと恥ずかしい。にしても協会って? 「何だ、協会って?」 「正式には環太平洋女神協会、ぱすぃふぃっがっですあそぅしえぃしゃん、略してPGAと言います」 「アー、ソー」 何で英語なんだとか、男の神のはとか、聞いたら負けだな。 「楽しいんですよ、PGAツアーって」 「へぇ~」 多分、一生で一番平坦に言ったと思う。 「この前は女神の交流目的も兼ねて、インカとかアステカまで行ってきましたから」 「え?」 「あるんです、そういうところが」 「行けるのか?」 「ええ、でも格安ツアーですから、あまりいいところには泊まれないんですが」 突っ込んだら負けだ、突っ込んだら負けだ、突っ込んだら負けだ。 「なぁ! そこにチリってあった 「ありましたよ。おみやげに種をもらいました」 「それ、くれ! 帰ったら、絶対!」 「いいですよ。辛かったので、辛くないように祈っておきましたから、きっと甘いのができると思います」 何だそれ! ししとうか? いや、待て、ししとうでも辛いのが出ることがある。先祖返りってやつだ。それに掛けてみるか。 「それでいいから、くれよ。約束だからな!」 「分かりました」 へっきしっ。 あ、着替えなきゃ。 |
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